■2日目


あれから一週間が過ぎ、残りの用水路の探索に出掛けました。
前回の教訓を生かし、1時間早めに行動に移しました。
一つ気がかりなのは天候です。朝から曇ってはいますが雨は大丈夫そうです。
コンビニで飲み物を調達して、さぁ行動開始です!

前回撤退した米野に到着して愛車(折りたたみミニ自転車ダホン号)を組み出発です。
この米野という場所からの眺めは素晴らしく、榛名山麓から前橋市街、遠くは高崎まで一望できます。
しばし見とれてしまいました。
ただこの近辺、ひとつひとつの開水路自体は短くすぐ次の開水路が見えるような
感じですが谷は深く、道も狭く少なく、いちいち迂回してこなくてはなりません。
早速、体力を奪われると共に精神的にもやられます。

 「飛べたら簡単なのに」

まずいです。早くもネガティブな妄想が涌いてきました。
それでも赤城県道(国道4号)に近づく頃には開水路と併走して回れる場所が増えてきたので楽です。

 「このペースなら今日中に行けそうだな」

と思ったとたんに目の前に深い谷が現れました。

幸せな時間は長く続かないのが世の常です。
下りの急坂でブレーキから悲鳴が聞こえます。
自分同様、愛車もかなりの年寄りです。
で、下れば登りが待ってます。
今度はひたすら続く急坂を自転車を押していきます。
すでに季節は初夏。暑っいです。汗がどっと噴き出してきます。


地図を見ながら進んでいくと目の前になんとか行けそうな農道が現れました。
ちなみにこの道、地図にはありません。
気がついたら体がそっちへ向かっていました。
いい感じでショートカット出来そうです。
と思ったら踏み跡はどんどん無くなり、景色はすっかり田んぼのど真ん中。
足下の土も柔らかくなり乗車は当然無理です。
押すしかないのですが、タイヤが10cmほど埋まる難儀な状況なので自転車でなく
自動車を押している気分です。
ふたたび汗が噴き出します。
そんな時どこからか涼しい風が。

 「あぁ、生き返るねぇ」

と思いながら赤城山の方に目をやると真っ黒な雲たちがモクモクと。

 「ヤバイこの風って雨の前触れ?」

携帯で雨雲をチェックすると夜から崩れるはずの天気予報が午後から雨に変わっています。
慌てて帰宅モードに切り替え一目散に自宅を目指します。
自宅のドアを開けたときには雨は本降りとなっていました。

この瞬間、三日目の探索が決定した事に気がつくのでした。

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